卒業生のみなさまへ
「たとえ明日世界が滅亡しようとも、今日私はリンゴの木を植えるだろう」
宗教改革の中心人物であったルターが話した一説です。
そして、私がこのブログを書こうと思いみんなを思い浮かべ、真っ先に思い出した言葉です。
さて、みなさまご卒業おめでとうございます。
みなさんの4年間はどんな時間だったでしょうか？
新型コロナウイルスという未曽有の災害とともに過ごした4年間
ブレーンヒューマニティーにとっても私が経験した中で最も厳しい時間だったように思います。
その厳しい時間にともに過ごし、そして後輩に手探りで伝え、子どもたち・中高生に精一杯価値を提供しようと努力していただいたみなさまに法人の代表として心より感謝申し上げます。
私は、大学生という4年間はなぜかとても特別なような時間に感じてしまいます。
大学に入学し、世界が広がり、様々な人に出会い、アルバイトをし、自分が「なにもの」かを探し続ける。
卒業生のみなさんは見つかりましたか？
自分が「なにもの」であるか
ブレーンヒューマニティーで活動した時間は、あなたを「なにもの」にしたのか
みなさんは、自分がなりたい自分になれただろうか？
それとも、自分が思っていたのと違う自分になったのでしょうか？
自分が思われたい自分、自分が思われている自分
そんな自分をひっくるめてそれがブレーンヒューマニティーで活動した自分なのだと私は思います。
わたしたちブレーンヒューマニティーで提供しているサービスは
すぐに成果や結果が見えるものではないものが多いと思います。
キャンプで自分が考えた企画で笑ってくれたあの子も
カタリバで真剣に悩みを相談してくれたあの子も
こども食堂でおいしいと言ったあの子も
子どもたちは、もしかしたら1年後、5年後にはその時のことは思い出せないかもしれません
でも詳細は思い出せないかもしれないけど、その記憶は残っていくと私は思っています
子どもたちの心のどこかでそれが記憶されていて、ふとした瞬間に思い出す
あの時のあの時間よかったなと思い出し、それが子どもたちの何かの経験につながっていく
わたしたちが提供しているサービスは、そんな気長で大切な活動なのだと思っています
そしてそれは、ブレーンヒューマニティーで活動してくれたみんなにとってもそれは同じことなんだろうと思う
自分たちの頑張りはすぐには自分自身の結果としては出てこない
いろんな言葉が自分の中の水瓶でぐるぐる回って、それが4年の時間を経ていい味を出してくるのだろうと
今年卒業する4年生のみんなは、大学4年間という時間に自分が「なにもの」かという答えは出ましたか？
みんなが後輩と関わる姿、みんなが自分と関わる姿、みんなが社会と関わる姿
そんな姿を見ていると、きっとこの人たちは、今、自分が「なにもの」かという答えを持っているのだろうと確信しています。
そして、これから過ごす社会という大きな海の中でさらに自分の中の水瓶にいろんな自分が溜まりそれを混ぜながら、さらに進化した「なにもの」かになる自分を楽しんでいって欲しいと思います。
自分がやりたいことと自分求められていることは必ずしも一致しないし一致させる必要もないと思う。
自分が人から求められる中で、自分の価値を見出し、そして自分はこんな価値もありますよと伝えていく。
そんな時間を過ごしていけば、必ず自分がやりたいこと、なりたい姿に近づけると思う。
その一歩一歩はとても地味で時間がかかるのだけれど、みなさんにとってとても大切な時間になると思います。
さて、文頭で書いた、一説、みなさんが2月にしたキャンプを見ていてふとこの言葉を思い出しました。
卒業しようとも、自分自身が今できることを考え、そして種を植えていく
わたしは思います。
重要なことは、それで人がどう変わったかではなく、それで誰が成長したかでもない
もしかしたらみんなの想いはうまく伝わらなかったかもしれないし、今伝わる必要もないと思います。
でも、みんながその行為をしたということ
将来の希望を育てるその行為自体が、素晴らしく、わたしたちブレーンヒューマニティーにとって
かけがえのない行為なのだとわたしは感じています
新型コロナウイルスという厳しい状況に置かれた苦しい状況の中で、
一歩そしてまた一歩と着実に歩みを進めたみんなだからこそできた事なのだと。
そんなみなさんを心より尊敬し、そして、わたしたちブレーンヒューマニティーは、
みなさんがやったように、たとえ明日、何があろうとも、わたしたちが、わたしたちであるがために、
リンゴの木を植えていきたいと思います。
そして、みんなの時間もいつか後輩の心のフックにその時のみんなの言葉や映像が引っ掛かり、
また新しいリンゴの木が植えられる未来を信じて、ともに歩いて行こうと思います。
みなさま、ご卒業おめでとうございます。
特定非営利活動法人ブレーンヒューマニティー
理事長 松本 学
