TSU・NA・GI

●21世紀のはじめに
―「変わるべきことと変わらないこと」


 新年あけましておめでとうございます。
 旧年中のご厚情に謹んで感謝申し上げます。
 本年も変わりませぬご支援、ご協力を賜りますよう心よりお願い申し上げます。
 願わくは、変えることのできるものについてはそれを変えるだけの勇気が与えられんことを。
 変えることのできないものについてはそれを受け入れるだけの冷静さが与えられんことを。
 そして変えることのできるものと、変えることのできないものとを識別する知恵が与えられんことを。
(ラインホルド・ニーバー)

 20世紀も終わりを迎え、新しい世紀が始まりました。世間では新世紀の始まりに大騒ぎしています。たしかに、私たちも2つの世紀にまたがるこの時期に、活動を行っていることに少しの感慨を覚えています。
 しかし、ちょうど一年前、新しい千年紀を迎えた際、ダライ・ラマはこんなコメントを出しています。「いつもと同じように日が昇り、いつもと同じように日が沈んでいく。今日もいつもと同じ1日にすぎない。」昨年末も私たちはいつもと変わらない活動を行ってきました。事務所ではクリスマスも、大晦日も大きな意味を持たないようです。大勢のスタッフやボランティアが集まり、それぞれに作業をしています。1年前もまた同様です。
 ただ、その日々の歩みのなかで私たちは大きな変化を遂げてきました。1年前、私たちはNPO法人格の取得を目指し、5年あまりの活動を続けてきた関学学習指導会から改組し、ブレーンヒューマニティーとして生まれ変わりました。そして、昨年3月には学生主体の組織としては全国初のNPO法人格を取得しました。4月にはホームエデュケーションプロジェクト(HEP)から発展した不登校の子どもたちの支援事業としてフリースクールをオープン。現在では、関学学習指導会の時代から継続して続けている被災児童支援事業、レクリエーション事業、家庭教師事業にあわせ、補習事業、HEP事業と計6部門の事業を同時並行で行っています。地域や私たちを取り巻く様々な環境からの要請も日々、高まっています。
 一方でこの1年間、多くの問題も抱えてきました。いまなお解決できない問題も山積しています。財政上の問題は、一刻の猶予も許されません。慢性的な累積赤字は当会の活動の継続に大きな陰を落としています。早急な財政構造の改善を進めなければなりません。同時に私たちの活動に対する客観的に評価する仕組みも必要です。思いだけで自分たちの活動を語るのではなく、客観的な意味づけとしての自己評価が求められています。
 一日一日、私たちのスタッフやボランティアは精一杯努力しています。それは日々、変わることのない姿なのかも知れません。一方で私たちの活動は大きく変化し、同時に変化を求められています。変わるべきことと、変わらないこと。私たちはいま、その選択を迫られているのかも知れません。

特定非営利活動法人ブレーンヒューマニティー代表  能 島 裕 介

TSU・NA・GI 第2巻第9号(2001/1/1発行)より