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●「タッキーの海外NGO日記」3  

 ここは南部アフリカ、ザンビア共和国中央州ムクシ県。コンゴ共和国との国境にほど近い人口1万人ほどののどかな街である。電気が通っている街の中心以外は。広大な農村が広がっている。
 まず印象的なのは、たくましく生きる母親たちの姿である。早朝4時には起床し、薪集め、洗濯、掃除などをこなす。そして小さな子どもをチテンゲという色鮮やかな布でくるんで背負ったまま、20キロはある水桶を頭に乗せ、井戸から水を汲んでくる。僕らにはまねのできない神業である。僕が起床する6時半頃には、仕事も一段落し、畑仕事に取りかかる。といった具合である。体力的にとても厳しい仕事をこなしているにもかかわらず、明るく大声で笑う彼女たちは、まるで太陽からのエネルギーを身体全体で吸収しているかのようにパワフルである。そのたくましさに圧倒され、時には人々は幸せそうだから、これでいいんじゃないのかと思うことさえある。
 しかし、現実は彼女たちを放っておかないのである。統計上5人に1人は感染していると言われるエイズやその他の病気の蔓延によって死や病といつも隣り合わせの生活がここにはある。学校に行けない子どもたちも少なくはない。こうして問題を数え上げるときりがなく、ただ自分の無力さを感じるのみである。現地NGOであるDAPPのボランティアとして村落開発に関わるこの6ヶ月間、自分の五感をフル活用して、できる限りの仕事をしたいと思う。

特定非営利活動法人ブレーンヒューマニティー
理事
瀧本 康平

TSU・NA・G第3巻第5号(2002/1/1発行)より