TSU・NA・GI

●“relation”〜本会スタッフのリレーエッセイ〜 9

 私はアメリカ帰りの帰国生である。そんな帰国生が阪急沿線の某S駅に住むようになってもう7年になるが、そのS駅が持つ快適性、安全性、そして交通の便利性からその駅周辺は世界一住みやすい場所であると自負していた。そんな私の思いに衝撃が走ったのはつい最近の事である。
 ある日の夜11時過ぎに私はとある少年にからまれた。彼は片手に烏龍茶の缶を持ち、時にそれをすすりながら私に質問をしてきた。最初は何気なく対応していたのだが、彼が明らかに何かを飲んでいるのではなく、吸っていたこと、そして同じ質問を繰り返してきた時に私は嫌な予感がした。そう、彼はシンナーを吸っていたのである。さらに衝撃であったのは、彼が私の友人の弟であったことであり、また聞くところによると私の他の友人もシンナー中毒になっているということだった。別の夜にBHでの会議が長引いたので先輩に車で送ってもらうことになったのだが、その時もS駅の近くの交差点で2人の青年がビニール袋を持ってシンナーを吸っていた。たかがシンナーと思われる方も多いかもしれないが、私にとっては衝撃的な事件であり、こうして私が抱いていたS駅に対する安全神話とも言うべき信頼は崩れ去った。
 普段の生活において見えていないことが見えた時は苦痛になるときもある。しかし、そのことは今まで何の疑問もなく過ごしてきた生活が如何に素晴らしい物であったかを発見できる。そう考えると、感謝というものは何か特別な事柄に対してではなく、普段何気ない些細なことに対しても同様にすべきであると感じる今日この頃である。
 最後にリレーのたすきを渡します。次は新開君お願いします。

特定非営利活動法人ブレーンヒューマニティー
常務理事  
城戸 武洋

TSU・NA・GI第2巻第5号(2000/8/20発行)より