TSU・NA・GI

●「ぼくらのNPOのマネジメント」2

課題を持つ当事者が集まり問題を共有し、内部から解決策を生み出そうとする試みをセルフヘルプ(=自助)システムと呼ぶ。そのような内側からの改革は、得てして外側からの改革よりも確かな力を生むのではないだろうか。
6月1日〜3日にかけて行われた『第3回NPOマネジメント編集協力委員会議合宿』(主催:IIHOE『人と組織と地球のための国際研究所』)は、まさにセルフヘルプによる研修の場であったと思う。本会議合宿は人材育成をテーマとし、「理事会の育成」「専従スタッフの育成」「ボランティアマネジメント」の3つの分科会に分かれて実施された。当会からは川中副理事長が「ボランティアマネジメント」分科会に、私が「専従スタッフの育成」分科会にそれぞれ参加し、関西だけでなく関東や東北で活躍する有力なNPO団体のスタッフや理事たちとワークショップを行い、多くの有益な知見を得た。今日はその中から少し。
ヒト、モノ、カネ、そして情報は、企業にもNPOにも共通する組織の4大資源であるが、ボランティアスタッフを多く抱えるNPOにとって『ヒト』が最大の資源であることに疑いはない。と同時に、『ヒト』はその性質上最も繊細な資源であり、それをマネージし最大限の効果を引き出すには多角的なアプローチを必要とする。特に公益的事業を活動の核とするNPOにおいては、その組織の社会的ミッションに共感し、常に意識しつづけることがその団体の構成員として働く大前提となる。
その上で良い人材を育てるに必要なステップを次のように整理することはできないか。@伝える。顔の見えるコミュニケーションをとり、誤解を防ぐこと。A育てる。例えば対外的責任を伴なう仕事を任せること、業務メニュー/マニュアルは業務担当当事者が作成すること等。そして鍛えること。時には人事異動を行い、燃え尽きや伸び悩みを緩和すること。B評価する。感情や感覚ではなく、事業遂行のプロセスや実績で評価し、結果をフィードバックすること。
専従スタッフ育成分科会の議論結果はこのようにまとめられたが、当然ながらこれは専従スタッフに限らずNPOに関わる全ての人材の育成に充てはまる項目と言えよう。
教育を業としている当会で働いていると、「人を育てる作業」について考えることは多い。あらゆる事業、あらゆる場面において、これからの実践の糧としていきたい。

特定非営利活動法人ブレーンヒューマニティー
事務局長
近藤 絵美子

TSU・NA・G第3巻第2号(2001/6/20発行)より