TSU・NA・GI

●「のじまのつぶやき」 4 〜就職という通過儀礼〜

 数年前に就職協定が廃止されて以来、学生の就職活動の時期が早まっているようだ。この会にも大学3年生がおり、就職活動で慌ただしい日々を過ごしている。私も就職活動を経験したし、銀行に入ってからはリクルーター(学生の採用を担当する若手社員)として、採用活動にも関わってきた。そのためか、いろんな学生から就職活動についての相談を受ける。
 「私はどんな仕事に向いているのでしょう」「私はどんな人ですか」いろんな質問を受ける。みんな、自分のことがわからなくて悩んでいるようだ。確かに、私も自分自身のことが一番わからない。ほかの人からどのように自分がみられているのか、とても気になったりする。でも、わからないながらも、自分と見つめ合う期間が必要なのかも知れない。
 私も就職活動やこの会の立ち上げにあたり銀行を辞めるときにも、自分自身のことについて悩んだ。自分はいったい何者なのか。自分は何のために生きているのか。自分のミッションとは何なのか。まだ、はっきりとわからないところもある。ただ、ぼんやりと見えるものもある。だから、いま、この道を歩んでいる。
 自分のことには、模範解答はない。あっているのか、どうかよくわからない。だからこそ、考えることに意味があるのかも知れない。モラトリアムの終わりに、自分探しの旅に出ることが、今の学生にとって、一つの通過儀礼(イニシエーション)となっている。

特定非営利活動法人ブレーンヒューマニティー代表
能 島  裕 介

TSU・NA・GI第4号(2000/3/20発行)より